老夫婦 | DogsByNature

老夫婦

Wrote:11.21.2006
カテゴリー:ロンドン回想録


ある日の昼下がり。いつものごとく、
車から数匹の犬たちを誘導して、青々とした芝生の中へ。

とその時、品の良い老夫婦が目を細めて、私たちの光景を見つめつつ、
近寄っていらっしゃることに気づいた。

みんなフレンドリーな子ばかり、なので、万一ご夫婦に飛びついては
大変と犬たちを自分の方へ呼び戻す。

私の足元で、近づいてくる優しそうな彼らを期待の目で待つ犬たち。

「あぁ、みんなよい子だねぇ、よしよし」ともうすでに曲がった腰をさらに
かがめて、犬たちの頭をなでるご婦人。しっぽを振り、嬉しそうに目を細める犬たち。

「みんな、あなたの子達?たくさん、いろんな子がいるのね」とご婦人。
その日はバーニーズ、キャバリエ、ミニチュアシュナ、ラブラドール、バセットハウンド
の面々。
私「いいえ、それぞれ違うご家庭の子ですけど、みんなお友達ですよ。」
そこへ、ご婦人の隣りで静かにたたずむ老紳士、穏やかな口調で
「けんかしないのかね・・・。」ぼそっと。

「そりゃあするでしょうよ。犬も子どもと一緒ですよ。仲がよい時もあれば、
けんかすることだってあるでしょうよ。」犬たちをいとおしそうになでながら
ゆっくりと物語を読むかのように答えるご婦人。そして、私に目線を配り、
「私たちも昔は犬を飼っていたのよ。今は自分達が歳をとって、面倒見られないからいないけど・・・。娘の家族の犬が時々遊びにくるのよ。この子達もお行儀いい子たちね。お天気のよい日のお散歩は気持ちいいですね、お引止めしてごめんなさいね」

そういって、静かに腰をのばすご婦人。彼女のひとときを邪魔しないようにと隣りで見届けていた老紳士も、そっと犬の頭に手をのせて「またね。」
そして、反対の手で帽子をそっと持ち上げる。

お二人は来た道の方へまたゆっくり歩き始めた。