なぜオフリード? | DogsByNature

なぜオフリード?

Wrote:05.23.2006
カテゴリー:ロンドン回想録


イギリスに住んだことがある人なら、一度はみな目にしたことはあるでしょう。
公園で走り回るオフリードの犬。

ロンドン市内にはそれが許される、広い公園がいくつもある。有名なところは

ロンドン中心部の一等地(高級地)にあるハイドパーク(350エーカー)、ケンジントンガーデンズ(260エーカー)、リージェンツパーク(410エーカー)
高級住宅街ハムステッドにあるハムステッドヒ?ス(790エーカー)
高級住宅街リッチモンドにあるリッチモンドパーク(2500エーカー)
高級住宅街チェルシー近くにあるバタシーパーク

1エーカーは約4,049?=約1,224坪
ちなみに、リッチモンドパークは東京都中央区とほぼ同じ大きさです。

ロイヤルパーク(王立公園)やロンドンシティのオープンスペース(市立公園)ロンドンバゥロゥオブ○○○○(○○○○区立公園)というように公が所有。

上記の公園以外にも、住宅地には随所に芝生のオープンスペースがある。

特に王立公園は造園管理、環境美化が整備され、安全のため、パークポリス(公園用の警察?、一般の市警ではない)が車で巡回。公園に対する公共サービス精神が伺える。

余談だが、パークポリスには護衛犬ジャーマンシェパードがお供している。
この護衛犬の役目は、ハンドラーである警官を守ること。
例えば、職務質問中、ハンドラーに危険が及ぶと判断された場合、攻撃的に吠え掛かることが仕事です。その場合はもちろん、ハンドラーの指示によって、その吠えはコントロールされなければいけなく、イギリスの護衛犬は法律上、噛み付くことは許されていないと聞いたことがあります。つまり、犬を攻撃の道具として使わないとする英国人の心意気。また、犯人を追求したり、迷子の捜索をするのではないので、警官たちは大抵、車で巡回していて、犬は車の後部にのっていることが多く、残念ながら、ハンドラーと歩く姿はお見かけしたことはない。

さて、なぜ、そんな公園が温存されているか、ではなくて、なぜ犬が公園でオフリードでいられるのか?について・・・。

ロンドンに住み始めたばかりの頃、目に映る犬たちのいきいきとした姿にただただ感動。

ある日、犬のお散歩中の男性に尋ねてみた。

私 「日本では犬が公共の場でオフリードにされることはまずないのですが、なぜイギリスではできるのでしょうか?」

男性「ええっ、じゃあ日本の犬は日常生活の中でオフリードにされることはないの?」

(私が尋ねたのに逆に驚かれ、聞き返されてしまった)

私 「室内飼いの場合や、犬舎飼いの場合以外はつながれていることがあたりまえだと思っています」

男性「犬って4本足だし、犬だからね。走りたいんだと思うだ。僕たち人間と同じ動物と言う立場でみれば、人間が使う公園で犬が走れないってことのほうが不平等に感じるけど・・・。」

ショッキングでした。だって、この人は普通の人。何も動物愛護崇拝者でも愛好家でもないわけです。犬が人と同じ生き物として、公園の自然を共有してあたりまえって感覚、わたしにはショッキングでした。

こういった普通の人の感覚こそ、長い歴史とともに彼らの生活の中に根付いているもののように思います。物心ついた頃から、犬はそういうものだって普通の人が感じ、その環境があるってこと。

王立公園はもともと、16世紀から19世紀にかけて貴族の猟場、庭園として作られたもので、特権階級の人しか使えなかった。しかし、時代を経て、今は階級にかかわらず、一般に開放され、都市空間の一部として誰もが利用できることがあたりまえ。

貴族の猟という特権階級のスポーツにおいて犬が活躍し、犬がそういった環境でオフリードなのがあたりまえだったという背景もあったのかもしれません。

オフリード=動物愛護の精神、ではありません。

家の祖母がこんなことを話してくれたことがあります。
「昔も結構つながれていない犬をみたもんだけどねぇ。ご近所の犬のクマ君がおとなりの犬のはなちゃんに恋しちゃってねぇ。クマ君は毎日はなちゃんの家の前まできては、ずーぅっと座って待ってたものだよ」

狂犬病の発生・未発生という側面もあるかもしれません。今イギリスでは狂犬病は発生していないと言われ、狂犬病予防注射も義務ではありません。

イギリスにおける犬のしつけ相談で多いもののひとつに、「呼んでも戻ってこない」
があります。

これは、オフリードにする機会が多いイギリスならではですね。つまり、

オフリード=十分にトレーニングされている犬、ということでもないのです。

家の中や誰もいない場所では戻ってくるのに、他の犬がいたり、ニオイの違う場所では、夢中になってしまうと、呼んでも戻ってこない、という話はよく聞く話です。

この状態の犬がオフリードの時一番困るのは、ネコや野生動物、自転車、子供を追いかけることです。他の動物をむやみに追う事は、捕まえたり、傷つける以前に動物に脅威を与えることであり、家庭犬が他の動物に脅威を与えることは許されていません。また、自転車や子供についても同様です。動くものを衝動的に追う行動以外にも、食いしん坊の犬は、ピクニック中の他人の食べ物にそそられて、呼び戻しがきかないこともあります。

いずれにしても、公園利用者はみな犬好きなわけではないことを念頭に、周りに迷惑がかからないようにするには、この呼び戻しが何よりも何よりも大事。

しかし、この公園環境は、一部の犬連れのマナーの悪さ、モラルの低さにより、犬の迷惑行為が取り上げられ、年々自由が少なくなっていくと言われています。

飼い主のモラルが低下しているのか、社会の目が厳しいのか・・・・。

地域の犬好きがドッグトレーニングクラブをもち、同好会のような形で地域貢献の活動としてのしつけ教室が一般的なイギリス。

一見うらやましくもあるこの犬の自由と環境は、英国ケンネルクラブ始め各種団体、地域の草の根活動的なしつけ教室のインストラクター達、が総力をあげて、飼い主しつけ教育、社会啓蒙教育活動に取り組んできた結果、今のところ、温存されていると言えるかもしれません。

ぜひ、守りつづけていってほしいものです。